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共同研究プロジェクト 津守貴之

採択課題名

機能低集積地域の持続性に関する日台比較研究

メンバー一覧(氏名、所属)

津守貴之岡山大学・社会文化科学学域
北川博史岡山大学・社会文化科学学域
滕鑑岡山大学・社会文化科学学域
福重さと子岡山大学・社会文化科学学域
土岐将仁岡山大学・社会文化科学学域
西田陽介岡山大学・社会文化科学学域
佐藤淳平岡山大学・社会文化科学学域
天王寺谷達将岡山大学・社会文化科学学域
田代滉貴岡山大学・社会文化科学学域
蔡錫勲台湾淡江大学・日本政経研究所
胡慶山台湾淡江大学・日本政経研究所
小山直則台湾淡江大学・日本政経研究所
徐浤馨台湾淡江大学・日本政経研究所

研究の概要

現在、「フラグメンテーション」=生産工程の細分化とその国境を越えた分散配置が情報システムのグローバルな展開とグローバルなロジスティクス・システムの形成によって急速に拡大してきた。それによって産業集積パターンは空間的に大きく変化し、都市・地域は、これまでの機能集積をさらに強めるところ、新たな機能集積を進めているところ、空洞化に見舞われているかつての機能高集積都市・地域、ますます機能集積が低下するところに分化しつつある。本研究では最後のタイプの都市・地域における低集積化の加速のメカニズム・構図を経済・経営・会計・法制度とそこで活動する各主体から多面的に分析し、その空間的・歴史的展開を、日本の瀬戸内地域と台湾を対象として検討する。そして機能低集積地域が持続性を持ち得る条件・要因を機能低集積地域の潜在的コア・コンピタンスの顕在化とそれをつなぐ新たなインターローカル・ネットワークの構築の可能性を検証することで考察する。

コンテナを使った国境を越えたDoor to Door 物流

研究実施状況

今年度は研究会を2回、オンラインで実施した。日時、発表者、発表タイトルは下記の通り。
2021年5月25日 天王寺谷達将准教授(経済学系)「複数価値を追求する会計を捉える視点」
2021年12月21日 北川博史教授(文学系)「非大都市圏地域における地域間の関係性-中四国地域を事例として」

また下記次第で国際シンポジウムを開催した。なおこのシンポジウムは日本側参加者は対面で台湾側参加者はオンラインで実施した。ただし一般の視聴はオンラインのみとした。
2022年3月1日 日台国際シンポジウム「ニューノーマルとインターローカルネットワーク-瀬戸内地域を事例として」
第1部 研究発表
岡山大学 社会文化科学学域 客員研究員 馮君実 教授 滕鑑
「中四国地域の移輸出額に含まれた付加価値額の配分構造について」
岡山大学 社会文化科学学域(文学系) 教授 北川博史
「三備地域における工業化と地域産業の再編」
岡山大学 社会文化科学学域(法学系) 講師 田代滉貴
「水害と河川管理───国家賠償法の観点から」
岡山大学 社会文化科学学域(経済学系) 准教授 天王寺谷達将
「サプライチェーンにおける環境負荷低減とマテリアルフローコスト会計」
台湾淡江大学・日本政経研究所 所長・教授 蔡錫勲
「日の丸半導体の垂直統合から台日戦略提携へ」
第2部:パネル・ディスカッション
コメンテーター
岡山大学 社会文化科学学域(法学系) 准教授 福重さと子
岡山大学 社会文化科学学域(法学系) 准教授 土岐将仁
台湾淡江大学・日本政経研究所 副教授 小山直則

研究成果

瀬戸内研究会を通じた研究会メンバーの著作・論文等の研究成果の主なものは以下の通りである。
馮君実「地域間所得格差が生じる要因についての分析─地域分業率による中国地方の産業構造を中心に─」『経済地理学年報』(現在、投稿・査読中)
西田陽介[2021]『地域と芸術文化投資』(大学教育出版)184pp.
天王寺谷達将・諸藤裕美・中嶌道靖・鈴木寛之・木村麻子[2022]「企業理念に直結したサステナビリティ配慮型製品開発―三菱ケミカル株式会社の実践を通じた探索的研究―」『管理会計学』第30巻第1号(現在、投稿・査読中)
津守貴之[2021]「海事産業強化法の特徴と今後の課題」『経済学会雑誌』(岡山大学経済学部)pp.21-47

その他の主要な研究成果としては「3.本年度の研究実施状況」に記載してあるとおり、2022年3月1日に開催した日台国際シンポジウム「ニューノーマルとインターローカルネットワーク-瀬戸内地域を事例として」がある。このシンポジウムでは瀬戸内地域を主要な事例としてニューノーマルのもとでのインターローカルネットワークの現状と課題を議論した。すなわち、インターローカルネットワークの進展の実態を、グローバルバリューチェーンの一般化、サプライチェーンのグローバルな拡散や国際分業パターンの変化あるいはその中での中国地方の産業集積構造の変化とその特徴を分析することで確認したとともに、サプライサプライがグローバル化する中での企業活動の制度的な誘導の可能性やニューノーマルの1要素である自然環境の変化への法的対応と課題、あるいは国際政治環境の変化への戦略的対応のあり方等を議論した。次年度は地域社会の持続性に対するインターローカルネットワークの可能性と問題点・課題の両面を日台比較も含めて整理していくこととした。