福田宏准教授らの共同研究チームの研究成果についてプレスリリースを行いました
万葉集などの日本古典文学に登場する「忘れ貝」について、文献研究と標本調査から実態に迫った研究です。
この研究で認識された新種ベニワスレは絶滅の危機に瀕していることも分かりました。
「 万葉の昔からその名を連呼され、のちの世へも脈々と伝えられながら、当の日本人は種の正確な
同定を今の今までしくじり続け、かたや欧米人にとっては入手も認識も困難な、遠すぎる極東の稀
少分類群のままに今日に至ったワスレガイ属は、日本という国の立地・歴史・文化・自然環境の特
異さを、良くも悪くも、様々な意味で端的に反映している生きものと呼べるかもしれません。
もはや風前の灯火と言えるほど危機的状況に瀕してしまったベニワスレは今回、絶滅する寸前に
滑り込みで間に合うかのごとく、種の実体が認識されました。生物多様性把握の第一歩としての正
確な同定は、このような局面でこそより一層強く求められます。私たちは今後も、身の回りの生き
ものたちに対して妥当で整合性のある認識を目指すべく、可能なかぎり努め続ける必要があります。
「忘れ貝」たちが波間および時の流れの彼方へと、文字通り忘れ去られてしまわないうちに。 」(プレスリリー
ス資料より)