研究所について

所長からのメッセージ

 新型コロナウイルスのパンデミックはいまだ終息の兆しを見せず、私たちの生命、社会に大きな影響を与えています。この世界的な危機を乗り越えるために、感染予防やワクチン開発等についての理化学的な研究が進められていますが、社会関係や価値観、文化的慣習や経済など、人文社会科学的な側面も感染症の動向に深くかかわっていることが実感されつつあります。

 人類の誕生からおよそ1万年前までの長い間、小規模な集団で分散して生活していた人類にとって、パンデミックは起こりえませんでした。感染症が人類にとって大きな脅威となるのは、農耕や牧畜が始まり、人口が増え、都市や国が形成され、数万人から数十万人という規模での集住生活が始まってからのことです。農耕や牧畜による自然の人工化、技術の発達、新しい世界観や価値観の創造という人類特有の現象(=文明)は、人類に繁栄をもたらしましたが、同時に戦争、環境破壊、差別、貧困などの多くの問題が生まれました。

 現代社会が抱えるさまざまな課題は、長い歴史の中でヒト、社会、技術、環境が相互に密接に関連しあって発生してきたものです。今の状況だけ、個別の要因だけを見ていては根本的な解決につながる長期的な展望を見出すことは難しいでしょう。文明動態学研究所は、人文社会科学における関連分野の連携および自然科学分野との連携による学際的研究体制を構築し、分野限定的研究では見えてこない人類史の実態を明らかにすることを目指します。

岡山大学 文明動態学研究所
所長

松本直子

ミッション

分野・地域・時代を結び
人文・社会科学研究の
新しい未来へ

現代社会が抱える様々な問題を人類の文明の消長という大きな枠組みのなかで見つめ直し、過去の探求と地域への着目から得られた新たな知で、持続可能な社会の構築に貢献する新学問、文明動態学を創造します。

研究所の3つのコア

【ロングレンジ分析】
文明基礎科学
研究コア

人類の誕生と文明の形成

国境を越えた
人類史学としての考古学
人類と環境
地域形成の歴史的理解

【ミドルレンジ分析】
社会動態学
研究コア

社会の複雑化と
地域社会の形成

生存のシステムとしての
家族・地域・国家
災害と地域社会の
レジリエンス
社会変容と
ジェンダー

【ショートレンジ分析】
地域動態学
研究コア

日本社会の縮図
としての瀬戸内

地域社会の持続性と
市場、制度
生活文化の
連続・非連続
アートが拓く
地域の未来

種々の研究プロジェクトを通じ、学内外の研究者等が有機的に関わり、国際的なネットワークを形成することで、人文科学、社会科学を中心とした文理横断型研究拠点を確立。

岡山大学学術研究院社会文化科学学域と密接に連携し、新たな知の創造と社会の還元にとりくむ人材や地域社会と国際社会で活躍できる人材を育成。