メンバー

認知考古学
ジェンダー考古学

縄文社会と物質文化
ヒト形人工物と認知・ジェンダー
文明形成過程の比較研究

縄文社会を主なフィールドとして、認知考古学およびジェンダー考古学の視点から研究を進めている。土偶の表現とジェンダー、土器作りの認知、暴力・戦争の要因、人口と文化変化の関係、独立して展開した文明形成過程の比較からみえてくるヒトの特性などに関心を持つ。新学術領域研究「出ユーラシア」の領域代表、欧州との国際共同プロジェクト「Be-Archaeo」の日本側代表をつとめる。

松本直子2005『縄文のムラと社会』岩波書店
Matsumoto, N. 2018. Japan: The Earliest Evidence of Complex Technology for Creating Durable Coloured Goods. Open Archaeology, 206-216.
Matsumoto, N. 2018. Changing relationship between the dead and the living in Japanese prehistory. Philosophical Transactions of The Royal Society B Biological Sciences, 373(1754)
(http://doi.org/10.1098/rstb.2017.0272 )

生物考古学、マヤ考古学

安定同位体分析と文化的肉体変工鑑定の複合による移民動態と民族性の研究
アーキオタナトロジーによる腐敗過程と埋葬環境の研究
巨視骨学と安定同位体分析の複合におる食性の研究

中央アメリカに栄えた古代マヤ文明の、主に考古人骨の研究をしています。マヤ文明では大きな神殿建築や神秘的なマヤ文字がよく知られていますが、偉大な世界遺産はいつも人間が作り出します。市井に生きた広く一般の人々を文明の主人公に見据え、彼の忘れ形見である遺骨から彼らの暮らしを復元し、そこから古代国家の在り方を議論していくのが私の目標です。

鈴木真太郎 2020 『古代マヤ文明―栄華と衰亡の3000年』 中公新書/中央公論新社

Suzuki Shintaro, Nakamura Seiichi & Price T. Douglas. 2020. Isotopic Proveniencing at Classic Copan and in the Southern Periphery of the Maya Area: A New Perspective on Multi-Ethnic Society. Journal of Anthropological Archaeology Published online（DOI: 10.1016/j.jaa.2020.101228).

Tiesler Vera, Suzuki Shintaro, & Gregory Pereira (editors). 2021. Tratamientos mortuorios del cuerpo humano: perspectivas tafonónicas yarqueotanatológicas. CEMCA, Universidad de Okayama, Universidad Autónoma de Yucatán. en impresión

日本考古学

原始～古代の親族構造論

古墳・埋葬施設・副葬品・古人骨から古墳時代社会、とくに親族構造の解明に取り組む。
また、親族構造研究から派生して王権構造と政治史的研究を実施する。近年は、岩陰埋葬遺跡・洞窟埋葬遺跡の研究に取り組んでいる。

清家章2010『古墳時代の埋葬原理と親族構造』大阪大学出版会（単著）
清家章2018『埋葬からみた古墳時代女性・親族・王権』吉川弘文館（単著）
清家章2020『卑弥呼と女性首長』新装版吉川弘文館

哲学史、現代哲学

フッサールと初期現象学、現代哲学への現象学的アプローチ（現代現象学）

慶應義塾大学大学院文学研究科哲学倫理学専攻（哲学コース）後期博士課程単位取得退学。博士（哲学）。日本学術振興会特別研究員SPD（立正大学文学部）、立正大学人文科学研究所研究員、高知県立大学生活科学研究科研究員、岡山大学社会文化学研究科専任講師を経て現職。犬派（軽度の猫アレルギー）。

植村玄輝『真理・存在・意識：フッサール『論理学研究』を読む』、知泉書館、2017年
Genki Uemura, “”Husserl’s Conception of Cognition as an Action. An Inquiry into its Prehistory””, in M. Ubiali & M. Wehlre (eds.), Feeling and Value, Willing and Action, Springer, 2015.
Genki Uemura “”Demystifying Roman Ingarden’s Purely Intentional Objects of Perception””, in N. de Warren & S. Taguchi (eds.), New Phenomenological Studies in Japan, Springer, 2019.

日本考古学、東アジア考古学

弥生～古墳時代の金属製品
弥生～古墳時代の集団間関係・社会複雑化・国家形成

金属製品を中心に、弥生時代～古墳時代における集団間関係や社会複雑化を研究しております。

ライアン・ジョセフ　2021「弥生時代の北部九州における鉄剣生産の再検討」『考古学研究』第68巻第１号　考古学研究会　31-52頁
ライアン・ジョセフ　2019「古墳出現期における刀剣類の生産と流通の二相―吉備地域を中心に―」『日本考古学』第49号　日本考古学協会　23-44頁
ライアン・ジョセフ　2019「古墳出現期の瀬戸内における鉄鏃の生産と流通―浦間茶臼山古墳出土鉄鏃を中心に―」『古代吉備』第30集　古代吉備研究会　13-32頁

日本考古学

古墳時代の墳墓外表施設、古墳時代の王権構造

古墳に樹立される埴輪をテーマの一つとして、古墳時代における手工業生産の管理体制や古墳造営事業の実態復元に取り組み、国家形成へ向かう列島社会の歴史的位置づけを探求している。そのために、王権中枢地域における埴輪の生産流通体制の解明と、吉備地域をはじめとした外縁地域への技術波及様相の復元研究を実施している。

木村理2020「古墳時代中期における王権中枢古墳群の埴輪生産」『考古学研究』第67巻第１号　考古学研究会　pp.28-48

木村理2019「百舌鳥古墳群における埴輪生産の展開―窖窯焼成導入以降を中心として―」『古代学研究』第220号　古代學研究會　pp.13-29

木村理2019「埴輪生産からみた馬見古墳群と畿内大型古墳群の特質」『埴輪論叢』第９号　埴輪検討会　pp.1-15

考古学

狩猟採集社会と農耕社会の居住形態
人口動態と文化変化
考古学とGIS

縄文～弥生時代の中国地方を主なフィールドとして、居住形態の変化とその要因に関する研究を進めている。また、その方法としてGIS（地理情報システム）や統計、シミュレーションといった定量的なアプローチを試みている。ほかに、遺跡のデジタルドキュメンテーションも進めており、これまで国内だけではなく、ウズベキスタン、エジプト、キルギス、トルコ、バーレーン、インド等の国際研究プロジェクトにも参加している。

山口雄治2019「岡山平野における土器組成と農耕の展開」『農耕文化複合形成の考古学』雄山閣 pp.71-80.
山口雄治2020「ボーリングコアを用いた古地形の発達過程とその評価－岡山市鹿田遺跡を例として－」『日々の考古学』3　六一書房 pp.201-210.
Sakahira, F., Yamaguchi, Y., Osawa, Ryo., Kishimoto, T., Okubo, T., Terano, T., Tsumura, H.2021.GENERATING HYPOTHESES ON PREHISTORIC CULTURAL TRANSFORMATION WITH AGENT-BASED EVOLUTIONARY SIMULATION. Proceedings of the 2020Winter Simulation Conference. pp.194-205.

メソアメリカ考古学、ラテンアメリカ地域研究

石材利用
石器、手工芸品、儀礼、医術利用

メキシコを中心に、人類の石材利用について研究している。考古学を主な研究手法とし、テオティワカン遺跡の発掘調査に参加し、またメソアメリカ地域の複数の遺跡で3次元測量を行ってきた。特に黒曜石利用に関心を持ち、黒曜石製遺物の分析や副葬品配置の空間分析などを行っている。また文献調査や民族調査を通じて、石材の医術利用や原石の採掘に関する研究も行っている。

Kabata, Shigeru and Yuta Chiba, 2013, “Chapter 3. Procurement, Symbolism, and Materialization: Obsidian Artifacts from Teotihuacan Monuments”, in Sugiyama, Saburo, et al. (eds.) Constructing, Deconstructing, and Reconstructing Social Identity: 2,000 Years of Monumentality in Teotihuacan and Cholula, Mexico, pp.19-40, Cultural Symbiosis Research Institute, Aichi Prefectural University.
千葉裕太、2015、「植民地期初期メキシコ中央高原の史料に見る黒曜石の呪医的利用―物質化された治癒神の特性―」、『物質文化』、第95号、135-151頁.
千葉裕太、2019、「テオティワカンにおける黒曜石の選好性の推移―墓内副葬品分析を中心に―」、『共生の文化研究』、第13号、65-71頁

新大陸考古学、人類学、認知考古学

テオティワカンを主としたメソアメリカ複合社会、古代都市文明。都市空間分析、図像学、象徴論、儀礼、埋葬分析。

メキシコの古代計画都市テオティワカンの発掘調査を40年間行い、複合階層社会の形成メカニズム、都市の起源を中心課題として、モニュメント建築、（生贄）儀礼、栄誉システムなどの研究を続けている。新学術領域研究「出ユーラシア」の分担者として、ヒトが外部世界（天体、自然、動植物）、また時空間の認知をどのように発展させたか研究中。現在、テオティワカン「石柱の広場」発掘調査の共同団長。

2005. Human Sacrifice, Militarism, and Rulership: Materialization of State Ideology at the Feathered Serpent Pyramid, Teotihuacan. Cambridge University Press, Cambridge.
2020. Interactions between Ancient Teotihuacan and the Maya World, co-authored with Nawa Sugiyama. The Maya World, edited by Scott Hutson and Traci Ardren, pp.689-711. Routledge, New York.
2020. 「古代メソアメリカのモニュメント―象徴する世界観と王権―」国立歴史民俗博物館、松木武彦,福永伸哉,佐々木憲一編『日本の古墳はなぜ巨大なのか古代モニュメントの比較考古学』吉川弘文館, pp. 70-91.

岩石学、電子顕微鏡分析技術、埋蔵文化財（無機物）分析

東アジア、東南アジア、中米地域における先史期の石器石材の研究
広域テフラ（火山ガラス）の化学組成データベース作成とその応用

電子顕微鏡およびX線化学分析技術を用いた火山岩や変成岩の研究を専門としています。岩石や鉱物の化学分析に使用するSEM-EDS, EPMA, WD-XRF, ED-XRF, p-XRFの分析技術を応用して考古遺物、特に東南アジア・東アジア、中米の石器石材や合金の研究にも取り組んでいます。先史の人々が道具や装身具として利用していた岩石や金属について、その化学分析情報を『翻訳』して、物質（岩石や合金）の同定、それら利用や製作技術の変遷、原材料の供給源などを探ること目的として、現場に携わる考古学者や博物館のみなさんと共に研究を行っています。

飯塚義之・主税和賀子2021「九州大学総合研究博物館所蔵：玉泉館古代瓦資料の岩相学的研究」『九州大学総合研究博物館研究報告』18:15-37.
飯塚義之・鈴木真太郎・バリエントス・トマス　2020「完全非破壊化学分析法による古代マヤ文明の磨製石器石材分析」『古代アメリカ』23:29-50.
飯塚義之・小野章太郎　2020「完全非破壊化学分析による宮城県地域の縄文時代磨製石斧および石製装身具の石材研究」『宮城考古学』22:137-156.

西アジア考古学

サーサーン・ガラスの生産と流通

1971年、兵庫県生まれ。青山学院大学大学院文学研究科史学専攻（考古学）博士後期課程中退。修士（歴史学）。2002年より岡山市立オリエント美術館学芸員。古代ユーラシアにおける東西交易の実態解明を目的に、ユーフラテス川以東の西アジアにおけるガラス容器生産と流通の研究を継続している。近年、ガラス研究で重要性が高まっている分析科学者との共同研究に積極的に取り組む。

「サーサーン朝におけるガラス容器生産と流通―沖ノ島８号遺跡出土カットグラス碗片の理解に向けて―」(単著)『沖ノ島研究』７号、15−26頁、2021年。「サーサーン・ガラスはどこで作られたのか−伝イラン北部由来資料の検討」（単著）『天理大学附属天理参考館報』第30号、103−118頁、2017年。Did ancient glassware travel the Silk Road? X-ray fluorescence analysis of a Sasanian glass vessel from Okinoshima Island, Japan.（共著）Journal of Archaeological Science: Reports 40(A), 103195. 2021.

メソアメリカ考古学、動物考古学

新大陸、特に古代メソアメリカにおけるヒトと動物の相互関係史。テオティワカン考古学。LiDAR測量、発掘調査、遺物分析による古代国家、都市形成の探求。

アリゾナ州立大学人類進化社会変化学部卒業後、ハーバード大学博士課程にて動物考古学を修得、2014年に博士号取得。スミソニアン博物館ポストドクター、ジョージメイソン大学助教を経て、現在カリフォルニア大学リバーサイド校助教。ヒトと動物の相互関係史、動物骨・アイソトープ分析、また古代人のランドスケープ構築・都市形成に関心を持ち、現在テオティワカンにて発掘調査を共同団長として実施。

杉山奈和、杉山三郎 2021
メソアメリカの共生するヒトと動物たち：新たな「ドメスティケーション」パラダイムへ. 特集：文明をつくる力、「科学」Feb. 2021 Vol. 91 No. 2:193-199, 岩波書店

Sugiyama, Nawa, María Fernanda Martínez-Polanco, Christine A.M. France, and Richard G. Cooke. 2020Domesticated landscapes of the neotropics: Isotope signatures of human-animal relationships in pre-Columbian Panama. Journal of Anthropological Archaeology 59:101195. DOI:10.1016/j.jaa.2020.101195.

Sugiyama, Nawa, William L. Fash, Barbara Fash, and Saburo Sugiyama.
2020 The Maya at Teotihuacan? New insights into Teotihuacan-Maya interactions from Plaza of the Columns Complex. Manuscript submitted for volume, Teotihuacan: The World Beyond the City, edited by Kenneth Hirth, David Carballo, and Barbara Arroyo, pp.139-171, Dumbarton Oaks Pre-Columbian Symposia and Colloquia series, Dumbarton Oaks Research Library and Collection, Washington, D.C.

メソアメリカ考古学

権力とイデオロギー
社会格差の物質化
都市化のプロセス
古代マヤ社会

古典期（後250‐900年）のマヤ社会を中心に、古代都市における社会関係の変化をパフォーマンス理論や実践理論の視座から研究してる。特に共同体の都市化が進む過程で、どのように権力やイデオロギーが生成され、社会格差が物質化されるのかに関心を持つ。2007年よりメキシコのエル・パルマール遺跡でプロジェクトを立ち上げ、現在まで継続的に発掘調査を実施している。航空レーダー測量、GISによる空間分析、考古科学、マヤ文字解読などを組み合わせた総合的アプローチによる研究が特徴である。

Tsukamoto, Kenichiro, Fuyuki Tokanai, Toru Moriya, and Hiroo Nasu. 2020. Building a High-Resolution Chronology at the Maya Archaeological Site of El Palmar, Mexico. Archaeometry 62: 1235-1266.
Tsukamoto, Kenichiro and Takeshi Inomata (Editors). 2014. Mesoamerican Plazas: Arenas of Community and Power, 280 pp. University of Arizona Press, Tucson. 2014年アウトスタンディング アカデミック タイトル受賞作.
塚本憲一郎 2016「古典期マヤの都市国家におけるイデオロギーのせめぎあい‐メキシコ合衆国エル・パルマール遺跡の考古学調査と碑文解読から‐」71-90ページ、考古学研究、第62巻第4号

日本古代史

吉備古代史、災害史

1963年、東京都に生まれる。岡山大学文学部卒業後、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究認定退学。博士（文学）。鳥取女子短期大学・樟蔭女子短期大学をへて１９９８年より岡山大学文学部助教授、2013年から社会文化科学研究科教授。2021年より現職。専門は日本古代史。古代社会論、ヤマト王権形成過程の地域史的研究に取り組んでいる。

『日本古代の税制と社会』塙書房、2012年（単著）
『戸籍が語る古代の家族』吉川弘文館、2019年（単著）
『日本古代の環境と社会』塙書房、2022年（単著）

文化人類学、ジェンダー論

ジェンダーと労働、伝統染織の生産と消費における仲介者の役割、オランダの高齢者ケアと迷惑意識、ヒトによる植物利用の多面性

長期フィールドワークという手法により、ジェンダーと労働をめぐる文化人類学的研究を行ってきた。主なフィールドはインドネシア（バリ島、ティモール島）、オランダなど。現在は伝統染織の生産・消費・流通にかかわる共同研究を主宰するほか、「迷惑」意識と自立／自律から考える「老い」、バスケタリ―と植物利用の民族技術、文化人類学back homeなどをテーマとする多分野協働型の研究に参加。

Ayami Nakatani ed. 2020 Fashionable Traditions: Asian Handmade Textiles in Motion, Lexington Books
中谷文美2015『オランダ流ワーク・ライフ・バランス―「人生のラッシュアワー」を生き抜く人々の技法』世界思想社
中谷文美2003『「女の仕事」のエスノグラフィ――バリ島の布・儀礼・ジェンダー』世界思想社【澁澤民族学振興基金第32回澁澤賞受賞】

日本考古学、中国考古学

鹿田遺跡・津島岡大遺跡の調査研究
中世～近世の集落景観復元
古代中国における墓葬構造と社会変化

岡山大学構内遺跡の調査研究に携わる。構内遺跡のひとつ、鹿田遺跡を主軸に中世から近世の集落復元・景観復元に関心を持つ。また構内遺跡の研究成果の公開・普及について積極的に取り組んでいる。
また中国春秋戦国時代から漢代を中心に、墓葬構造・装飾、被葬者身分等の分析を通して見えてくる社会動態に関する研究を続けている。

岩﨑志保2007「鹿田遺跡出土猿形木製品について」『鹿田遺跡5』岡山大学構内遺跡発掘調査報告第23冊pp.171-176
岩﨑志保2005「条里の溝について」『津島岡大遺跡16』岡山大学構内遺跡発掘調査報告第21冊pp.221-226
山下志保2003「刻紋銅器考」『先史学・考古学論究Ⅳ』（熊本大学考古学研究室創設三十周年記念論文集）龍田考古会pp.533-551

日本美術史、浮世絵

信仰と表象について

絵画をはじめとした表象文化に人々の信仰心がどのように影響してきたのかについて関心がある。これまでは江戸時代の力士を描いた相撲絵を中心に研究を重ねてきた。描かれる対象の社会的な性格が、視覚的にどう表現されたのかについて、美術史の観点から調査を進めている。

Noriko Okubo: Supersize Sumo Wrestlers: Selected Imagery, Impressions 42, Japanese Art Society of America, 2021
大久保範子: 勝川春英の相撲絵に関する一考察, 浮世絵芸術, 国際浮世絵学会, 第176号, 2018
大久保範子: 勝川春章と勝川派の相撲絵, 生誕290年記念　勝川春章―北斎誕生の系譜―, 太田記念美術館, 2016

日本中世史

憑霊信仰修験道寺社と地域社会

日本中世を主な対象に、信仰と社会の関わりに関心を持つ。修験道・巫女・怨霊・疫神など、民俗学が早くから手がけてきた事象を、文献史学の領域に立脚しつつ、絵画・物語・縁起その他を分析素材として、研究を進めている。

『憑霊信仰と日本中世社会』法蔵館、2022（単著）
「「護法信仰論覚書」後」『比較日本文化研究』20、2020
「修験道の成立」『修験道史入門』時枝務・長谷川賢二・林淳編、岩田書院、2015
「後鳥羽院怨霊と後嵯峨皇統」『日本史研究』512、2005

文化人類学

国家・市場・社会に関する経済人類学的研究

エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを続け、富の所有と分配、貧困や開発援助、海外出稼ぎなどについて研究。科研費・基盤研究（C）「エチオピア人出稼ぎ・難民女性の生活実践にみる「人間の経済」に関する人類学的研究」研究代表。

松村圭一郎 2008『所有と分配の人類学』世界思想社
松村圭一郎 2017『うしろめたさの人類学』ミシマ社
Matsumura, K. 2018 Women Crossing Borders: Experiences of Female Migrant Workers and their Changing Family Relations in Rural Ethiopia. Sophia Journal of Asian, African, and the Middle Eastern Studies, 36:23-46.

考古学・博物館学

吉備の弥生・古墳時代の研究
身体表現に関する考古学的研究
ジェンダー/セクシュアリティ考古学
博物館学的研究

主に吉備地域の弥生時代・古墳時代を対象とする。フィールド調査では、古墳時代前期前方後方墳・岡山市津倉古墳の発掘調査や、地上・航空レーザによる吉備の代表的弥生墳丘墓・古墳の三次元計測に取り組んできた。また人工物にみられる身体表現の歴史的意義の追究や、ジェンダー/セクシュアリティ考古学の推進に努めている。

光本順2006『身体表現の考古学』青木書店
光本順編2020『津倉古墳』岡山大学考古学研究室
光本順2016「鹿田遺跡出土線刻人面土器の歴史的位置」岡山大学埋蔵文化財調査研究センター編『吉備の弥生時代』吉備人出版、76-84頁

日本近世史

日本近世の村、経済、金融、民衆思想

日本近世の西日本を主な研究対象地域に設定し、文献史学の手法によって研究を行っている。18世紀中期から19世紀後期における村、地域、経済、金融、民衆思想、中央市場と地方との関係などの内実と変容、日本における近世から近代への移行過程の特質に関心を持つ。岡山県内や近畿地方における近世・近代史料の調査にも参加しており、地域の史料保全のための活動（史料ネット活動）にも携わっている。

東野将伸「近世後期の地域経済と商人―備中国南西部と大坂との関係を中心に―」（『日本史研究』679、2019年）
東野将伸「幕末期の掛屋と年貢銀収納―備中一橋領を事例として―」（『歴史学研究』966、2018年）
東野将伸「近世後期の一橋徳川家における財政運営―幕府・所領との関係を中心に―」（『ヒストリア』259、2016年）

中世考古学

中世土器
陶磁器からみた中世社会研究

1988年、長崎県に生まれる。2011年熊本大学文学部卒業、2013年熊本大学大学院社会文化科学研究科博士前期課程修了。2022年熊本大学大学院社会文化科学教育部にて学位取得（博士：文学）。
2013年より熊本大学埋蔵文化財センター、2014年より長崎県大村市教育委員会、2022年より現職。専門は中世考古学。主に、肥前西部地域の中世社会について研究している。

2015「考古学的視点から見た肥前西部地域の流通構造」『考古学研究』第 62 巻第 1 号 pp.44-62 考古学研究
2019「貿易陶磁からみた中世における九州西北地域の研究」『貿易陶磁研究』№39 pp.94-111 日本貿易陶磁研究会
2019「肥前西部地域における中世土師器の編年試案」『中近世土器の基礎研究』27 pp.91-106 日本中世土器研究会

日本考古学

岡山大学構内遺跡の研究
古墳時代の研究
埴輪および埴輪棺の研究

岡山大学構内に所在する津島岡大遺跡、鹿田遺跡、福呂遺跡の発掘調査に携わり、縄文時代以降近代までの遺構・遺物について調査研究を進めている。また、古墳時代の研究、特に埴輪と埴輪棺を研究している。遺跡の保存活動にも関心があり、主に自身が在住する岡山県内の遺跡の保存に取り組んでいる。

野﨑貴博編2021『鹿田遺跡15』岡山大学構内遺跡発掘調査報告第37冊
野﨑貴博2020「中国・四国地方における埴輪棺研究の現状」『考古学ジャーナル』741,19-22
野﨑貴博2021「人しれず失われてゆく遺跡」『明日への文化財』84号,30-39

日本女性史

日本近世の性と生殖、近代家族と子育て

　「いのち」をテーマに、日本近世・近代の生きる場である「家」、「近代家族」の性と生殖の問題に　取り組んでいる。史料を丹念に読み解くことで、歴史のなかに生きた一人一人の女、男、子どもがいのちをつないできた営みを、生きた人々の側から明らかに出来ればと考えている。

『出産と身体の近世』勁草書房、1998年（単著）、第14回女性史青山なを賞受賞
『江戸の捨て子たちーその肖像』吉川弘文館、2008年（単著）
『江戸の乳と子どもーいのちをつなぐ」吉川弘文館、2017年（単著）
『性からよむ江戸時代ー生活の現場から』岩波新書、2020年（単著）

日本近世史

地域史、地域史料学

岡山県倉敷市出身。岡山県内・大阪府内の自治体史編纂業務に携わり、現在は地域史料の保全・調査を一般市民や地域住民とともにおこない、史料保全の担い手になっていただく活動に取り組んでいる。

「近世岡山藩における本家分家関係:生坂分家に対する財政的援助の実態」（『倉敷の歴史』11、2001年）
「岩手県一関市首藤家文書の目録作成に携わって:文政八年の御用状水損一件」（『史の杜 』4、東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門、2016年）
「神戸大学近世地域史研究会について」（『神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター年報 Link』10、2018年）
「地域歴史資料を学び楽しむ「場づくり」」（『ヒストリア 』282、2020年）
室山京子・松下正和編『古文書サロン活動報告書:姫路市大塩公民館での活動を中心に』2021年

文化人類学

宗教的なモノと「信仰」に関する人類学的研究

修士課程の頃からメキシコの一村落でフィールドワークを行い、カトリックの宗教実践について調査してきました。特に幼子イエス像のような宗教的なモノと人々の日常的な（祭礼以外での）関わりによって生成される「信仰」に関心を持っています。昨年からは「宗教におけるモノと『聖』」と題した研究会を企画し、宗教におけるモノについて多様な地域・宗教との比較研究も進めています。

川本直美 2019「『幼子イエス像をあやす』−メキシコ西部村落におけるカトリックの実践を事例に」『文化人類学』、83(4)、536-553、日本文化人類学会
川本直美 2017「村落共同体を分ける／結ぶ聖像たち―現代メキシコ村落における共同体とカトリック教会の多面的関係」『Contact Zone (コンタクトゾーン)』、9、142-172、京都大学大学院人間・環境学研究科文化人類学分野
川本直美 2014「ルピータのいるところよ : メキシコの聖母信仰 」、(特集 女神、女神の世界とその周辺)、季刊民族学 38(3)、50-53、千里文化財団

人類学

島嶼コミュニティにおける社会的相互行為の研究、社会関与型の人類学実践

トンガ王国を主要なフィールドとして、ポリネシア島嶼のコミュニティにおける人類学的研究を実施。また2022年4月には合同会社メッシュワークを設立し、人類学をアカデミアの外部へと実践的に接続させる運動を展開している。

Higa, N. 2011 “Economic, Religious, and Social Practice of Giving: A Microanalysis of Donating in the Kingdom of Tonga”, Obadia, L. and Wood, D.C. (Ed.) The Economics of Religion: Anthropological Approaches (Research in Economic Anthropology, Vol. 31), Emerald Group Publishing Limited, Bingley, pp. 241-263.

比嘉夏子 2016『贈与とふるまいの人類学—トンガ王国の〈経済〉実践』京都大学学術出版会

北川亘太, 比嘉夏子, 渡辺隆史 2020『地道に取り組むイノベーション—人類学者と制度経済学者がみた現場』ナカニシヤ出版

社会人類学

歴史語り、帰還移民、ハラール産業

インドネシア東部の小さな島と日本を主なフィールドに、人々が日常生活で語る歴史の意味、国際人口移動と日本から帰還した元技能実習生の暮らし、日本のハラール食品産業の展開など、複数のテーマで社会人類学的研究をしている。目下1960年代のインドネシア地方社会での集団的暴力の語りをめぐる研究成果公開の準備中。

『歴史語りの人類学：複数の過去を生きるインドネシア東部の小地域社会』（世界思想社、2011年）、「過去との多様な連類の探求に向けて：インドネシア地方社会の集団的暴力を巡る考察」（『社会人類学年報』(43)、2017年）、「序：《特集》ハラールの現代：食に関する認証制度と実践から」（『文化人類学』(83（4）)、2019年）

世界経済論、グローバル・ロジスティクス論

日本の港運秩序、日本の港湾政策・行政、日本の内航海運、ロジスティクスから見た世界経済・東アジア経済・日本経済

日本の港湾物流市場、内航輸送市場を主要な対象としてその業界秩序を市場動向、制度変化、諸主体間の関係性およびリーダーの行動様式から分析している。またグローバル化ないしはグローバル・バリュー・チェインの一般化という現象をロジスティクス機能・制度・主体面から分析し、その空間的展開を世界経済の一体性、東アジア経済（あるいは域圏経済一般）の凝集性、日本経済（あるいは国民経済一般）の溶解という視点から考察している。

津守貴之［1997］『東アジア物流体制と日本経済ー港湾機能の再配置と地方圏「国際化」』お茶の水書房立石剛・星野郁・津守貴之［2004］『現代世界経済システム』八千代出版津守貴之［2017］『日本のコンテナ港湾政策ー市場変化と制度改革、主体間関係』成山堂書店

経済地理学（都市地理学、産業地理学）

産業集積　技術軌道　地域開発　リヴァブルシティ

これまで企業の地理学に依拠した日本における産業立地研究を展開し、その後、調査地域をインドに求め、産業集積の形成過程とその要因について調査研究を行ってきました。近年の科研費における研究テーマは「新興国におけるICT産業の産業集積地域の形成過程と構造変化に関する比較研究」です。最近では、産業のもつ経路依存性や技術軌道に注目して産業集積を別の視角から捉え直す試みを行っているとともに、カナダやオーストラリアなどの都市を対象として、住みやすい都市のあり方についても研究を行っています。

北川博史（2005）：『日本工業地域論－グローバル化と空洞化の時代－』海青社．
北川博史（2011）：『非大都市圏地域における地域システムの再編』岡山大学文学部叢書32．
北川博史（2020）：乾燥地における地域再生の取り組み―西オーストラリア州ゴールドフィールズエンペランス地区を事例として―．地域地理研究，24-2．

経営戦略（企業、非営利組織）

中小企業の経営戦略、非営利組織の経営戦略、企業のCSR、地域活性化

金融機関での業務経験から経営戦略に携わってきました。岡山に来てからは、美術館や芸術祭に関心を持つようになり、地域活性化の視点から芸術文化活動の運営に関する研究活動に取り組んでいます。

西田陽介（2020）「人口減少経済における経営戦略の研究-企業と地域の連携に関する考察-」岡山大学産業経営研究会。
西田陽介（2016）「顧客の集合知と価値創出」『ナレッジ・マネジメント研究年報14号』、31-46頁。
花堂、髙橋、西田他（2012)『近未来の企業経営の諸相-2025年』中央経済社。

地方政治、市民参加、まちづくり

地域の成長を支える市民参画

熊本大学法学卒。フランス・ボルドー政治学院留学。熊本大学社会文化科学研究科修了（博士：公共政策）。カリフォルニア大学バークレー校都市地域開発研究所客員研究員を経て、2011年岡山大学地域総合研究センター教助。2020年から地域総合研究センター副センター長。国内では、岡山市西川緑道公園や矢掛町での市民主体のまちづくりを分析。海外では、フランスの参加民主主義やアメリカ・ポートランド市の市民参画を研究。

岩淵泰（2019）『西川アーカイブス』吉備人出版（単著）

岩淵泰（2019）『岡山まちづくり探検』吉備人出版（単著）

Ｙ.IWA BUCHI“Open the Public Space” in Direct Democracy Practices at the Local Level, IGI Global, pp.191-201.

会計学

価値創造に資する会計

イノベーションにおける会計の役割や、環境負荷とコスト削減を同時に追求するマテリアルフローコスト会計に関する研究を進めてきた。会計情報は、影響力が強く、人・技術など多様なアクターが関わる情報であることから、会計情報を扱う会計学は、社会的な重要性、学際的研究の重要性が高い学問分野であると考えている。文明動態学研究所における学際的研究を通じて、会計にまつわる理解を進め、社会に貢献したい。

天王寺谷達将・東田明・篠原阿紀（2020）「複数価値の併存：マテリアルフローコスト会計の銘刻に着目して」『日本情報経営学会』40(1/2): 124-135.
天王寺谷達将（2018）「イノベーションと管理会計研究の今後の方向性：Robert Simonsの理論面での貢献の考察を足掛かりとして」『管理会計学』26(1): 43-60.
Tennojiya, T. (2015) “A study of material flow cost accounting (MFCA) diffusion: The case of MFCA as a production improvement tool”, Proceedings of the first WBCSD and EMAN joint International Sustainability Accounting Symposium, Geneva, 2015 : 97-102.

労働法

労働法規制の名宛人

アメリカ・ドイツを比較の対象国として，アウトソーシングや企業組織再編などがグローバルに行われるなかで，労働法規制を実効的に機能させることを目標とした研究を行っている

土岐将仁『法人格を越えた労働法規制の可能性と限界――個別的労働関係法を対象とした日独米比較法研究』（有斐閣，2020）
TOKI, Masahito, “How Are Third Parties Regulated by Labour Laws?” in Stefano Bellomo and Antonio Preteroti (eds.), Recent Labour Law Issues – A Multilevel Perspective pp. 14-25 (G. Giapplichelli Editore) (2019)
土岐将仁「フランチャイジーの労働者に対するフランチャイザーの労働法上の責任――アメリカにおける議論状況」日本労働研究雑誌678号63-71頁（2017）

行政法、公物法

フランス公物法の存在意義、公共施設（河川、港湾）の管理に関する法

公共施設の管理に関する法律を、フランス法と比較しながら研究しています。近年は、とくに河川や港湾に関する法律の問題を取り上げています。

「土地収用法の不明裁決・円滑化法の収用特例」市民と法123号（2020年6月）35～40頁
「フランスにおける自然災害防止のための土地収用制度」岡山大学法学会雑誌68巻3･4号（2019年3月）93～136頁
「フランス公物法理論における反所有権的観念――フランス公物法理論の生成――（一）～（二）・完」 法学論叢（京都大学）165巻3号（65～82頁）、166巻1号（70～87頁）平成21（2009）年6月～10月

日本近現代史

日本近現代におけるハンセン病問題
地域資料の保全と活用

日本近現代のハンセン病問題について、岡山県瀬戸内市の長島愛生園・邑久光明園という二つのハンセン病療養所を対象として、入所者が取り組んだ自治会活動の特徴やその歴史的意義について研究している。また、文書館での勤務経験や災害時の資料保全活動の経験を踏まえ、地域社会に残されたさまざまな歴史資料の保全と活用方法をめぐる実践的課題にも関心を有している。

松岡弘之2020『ハンセン病療養所と自治の歴史』みすず書房
松岡弘之2019「地域のなかの文書館―兵庫県尼崎市の場合」佐藤 孝之・三村 昌司編『近世・近現代文書の保存・管理の歴史 』勉誠出版
松岡弘之2016「光明園から邑久光明園へ : 戦時ハンセン病療養所における自治返上のあと・さき」『歴史学研究』947号

東アジア経済史

近代中国財政史

20世紀前半の中国における中央政府と省政府、省政府間の財政関係について研究している。西洋近代的な財政制度が中国において如何に受容され土着化したのか、政府間財政関係の変容が近代中国の政治状況にどのような影響を与えたのかについて関心を持っている。

佐藤淳平2020『近代中国財政史ー「外省」から「地方」へ』東京大学出版会
佐藤淳平2018「囲繞清末民初浙江省財政的三角関係：浙江省議会、省政府和中央政府」劉維開主編『1920年代之中国』台北：政大出版社所収
佐藤淳平2016「20世紀初頭清朝における財政集権化 」『中国研究月報』70(6)

行政法

公私協働
市民参加
ガバナンス

社会における諸問題を解決するにあたって、公的部門(国、地方公共団体等)と民間部門(企業、NPO法人等)がどのように協力関係を築くべきか、ということに関心を持つ。特に現在では、都市法・農業法・地方自治法・スポーツ法を主たるフィールドとして、「団体のガバナンス」という見地から、こうした公私協働のあり方について研究を進めている。

田代滉貴「ドイツ公法学における「民主的正統化論」の展開とその構造」行政法研究14号(2016年)
田代滉貴「農業協同組合の法理論(一)(二・完)」岡山大学法学会雑誌69巻1号、2号(2019年)
田代滉貴「行政法学から見たスポーツ団体の規律のあり方」法政研究87巻3号(2020年)