2024年度文明動態学研究所 共同研究プロジェクト 東野将伸
採択課題名
地域歴史資料の研究資源化による岡山地域の地域史・医学史研究
メンバー一覧(氏名、所属)
東野 将伸 | 岡山大学・社会文化科学学域 |
今津 勝紀 | 岡山大学・文明動態学研究所 |
德永 誓子 | 岡山大学・社会文化科学学域 |
松岡 弘之 | 岡山大学・社会文化科学学域 |
久野 洋 | ノートルダム清心女子大学・文学部 |
加藤 明恵 | 大手前大学・国際日本学部 |
松下 正和 | 神戸大学・地域連携推進本部 |
天野 真志 | 国立歴史民俗博物館 |
吉葉 恭行 | 岡山大学・ヘルスシステム統合科学学域 |
笈田 将皇 | 岡山大学・ヘルスシステム統合科学学域 |
松尾 俊彦 | 岡山大学・ヘルスシステム統合科学学域 |
古俣 めぐみ | 岡山大学・ヘルスシステム統合科学学域 |
研究の概要
文明動態学研究所の文化財レスキュープロジェクトの一環として、岡山を中心とする地域歴史資料の保全方法の開発や利活用に関する基礎的な研究を継続するとともに、診療記録などの医学関係資料をふくめた多様な地域資料の復原と活用を通じて、主に岡山地域における地域史研究・医学史研究を行う。本研究では大きく①地域歴史資料の保全と活用に関する人間文化研究機構とのネットワーク事業に関連して、西日本豪雨などの災害による被災史料のレスキュー、教育プログラムの開発、②診療記録などの医学関係資料の整理と内容把握、将来の活用に関する基礎的な研究を行う。
研究実施状況
主に岡山県内の史料のレスキュー・保全措置を行うボランティア団体である「岡山史料ネット」との連携のもと、2018年西日本豪雨被災史料のクリーニング作業(H家文書・M家文書)、2023年に寄贈されたF家文書の襖下貼り剥がしの作業を進めた。この作業時などに、史料クリーニングの方法や今後の史料保管体制などについて、参加者と議論を行った。2025年3月12日・13日・17日・27日には、2018年西日本豪雨被災史料の撮影、医学関係資料の整理・目録取り作業を学生アルバイトの協力も得つつ進めた。岡山史料ネットの活動報告会に参加し、資料保全についての議論を深め、参加者との情報交換を行った。
研究成果
2018年西日本豪雨被災史料であるH家文書の整理と写真撮影がほぼ全て終わり、所蔵者への返却や所蔵機関への寄贈・寄託といった、文書保全・管理の次の段階へと協議を進められる状況となった。同家文書の一部については、文明動態学研究所共催の高梁市歴史美術館特別展(2025年2月1日~5月12日)「備中神楽と西林国橋」(於:高梁市歴史美術館)へ貸し出しを行った。2025年4月12日には同展の関連企画として、同家文書のクリーニング・整理作業に取り組んできた室山京子氏(文明動態学研究所客員研究員)による講演会(「土師家文書でたどる備中国川上郡福地村の神社と人々―西林国橋と兄・淡路―」)も予定されている。上記の通り、本研究に関わる社会・地域貢献活動については本年度の大きな成果といえる。
同様に、2018年西日本豪雨被災史料であるM家文書については、点数の多さもあって写真撮影作業を積み残したままとなっていたが、学生アルバイトの協力によって、大半の文書の写真撮影を終えることができた。引き続き残る文書の写真撮影や史料の状態の確認作業を行い、並行して文書所在地の資料保全機関との連絡・調整なども進めていく予定である。
2023年に寄贈されたF家文書の襖下貼り剥がしの作業についても、今年度で大半が完了した。今後は残りの作業の実施と整理・目録取り、保管環境や管理体制などについて検討していく必要がある。
医学関係資料については、段ボール数百箱に及ぶ分量であるため、全体像の把握や箱・簿冊の番号付けと、一部の簿冊の点数・状態などを目録化する作業に着手した。今後、この作業をより本格化させていく必要がある。