共同研究プロジェクト 柴田亮
採択課題名
中世宝篋印塔に彫成された近江式文様の伝播過程解明を目的とした学際的研究
メンバー一覧(氏名、所属)
柴田 亮 | 岡山大学・文明動態学研究所 |
佐藤 亜聖 | 滋賀県立大学 人間文化学部 地域文化学科 |
海邉 博史 | 堺市博物館 学芸課 |
若杉 勇輝 | 公益財団法人 元興寺文化財研究所 |
研究の概要
中世に製作された石塔は、五輪塔や宝篋印塔、宝塔、層塔など多岐に及ぶ。これらの石塔は12世紀末~13世紀にかけて出現し、14世紀以降に全国的に増加した。石塔は地域色が非常に強く、特徴的な塔形や文様が全国各地で出現した。この特徴的な文様のひとつに、近江式文様がある。近江式文様は、主に宝篋印塔に彫成された開敷蓮華文を指し、近江国を中心に分布する。この近江式文様は、近江国だけでなく瀬戸内地域にも散発的に分布することが知られている。岡山県内では美作国南部に集中するが、それ以外では確認されていない。これは美作国の特徴であり、近江式文様を持つ宝篋印塔の分析によって、美作国の中世社会像の一端を復元しうると考えられる。
本研究は近江式文様の美作国への伝播過程を、考古学と理化学の方法を用いた学際的研究によって明らかにすることで、美作国と近江国との関係性や美作国内の中世社会像を解明する目的で実施するものである。