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2024年度 文明動態学研究所 共同研究プロジェクト 岩淵泰

採択課題名

子育て支援のまちづくり:岡山県奈義町における協働形成に注目して

メンバー一覧(氏名、所属)

岩淵 泰岡山大学・研究・イノベーション共創機構
浅野 由子日本女子大学 日本女子大学・家政学部
床尾 あかね岡山大学・研究・イノベーション共創機構
高尾 戸美岡山大学・社会文化学研究科(前期課程)國學院大學兼任講師
Natalie MontecinoClimate Democracy Initiative

研究の概要

人口約5700人の岡山県奈義町は、令和元年の合計特殊出生率が2.95を超え、子育て支援のまちづくりの成功例として全国的に注目されている。平成24年の奈義町子育て応援宣言には、「家庭・地域・学校・行政みんなが手を携えた地域全体で子育てを支えるまち」が掲げられ、町は、医療費や就学支援などの経済的支援を手厚くし、子育て環境を整備してきた。

本研究は、出生率向上の背景に、奈義町で住民同士の顔が見えるコンパクトなまちの実現があり、子どもから高齢者を巻き込んだ地域の参画が広がっている点に注目する。子育て、女性、アート、文化、国際団体の誕生が、地域の多様性と寛容性を高めている点を分析する。本研究は、奈義町の分析を通じて、少子高齢化社会に対応した住みやすい地域モデルを提示する。

研究実施状況

研究代表者の岩淵は、奈義町のまちづくり総合計画検証委員会等を務めながら、毎月、奈義町にフィールドワークを行った。町の子育て支援政策、社会福祉施設、子育て支援施設(こども園やチャイルド・ホーム)などでヒアリングを行った。岡山大学や日本女子大学の学生も現地を訪れ、まちづくりに関する調査を行った。

研究成果

共同研究チームは、2025年2月22日、奈義町SDGsのつどい:未来を創るひとづくりの第2部「外から見た奈義町のまちづくり」で研究発表を行った。以下が発表のタイトルである。

「奈義町の持続可能性を支える子育ての意義」 日本女子大学 浅野由子
「まちづくりを支える協働体制:助け合いのネットワーク分析」 岡山大学 岩淵泰
「奈義町とアジア諸国の比較:文化的要因が出生率に及ぼす影響」 東京大学 小池エバン照男 

岩淵教員は、まちの変遷を写真を交えて説明し、子育て支援のまちづくりが、平成の市町村合併を契機に変化している点を指摘した。浅野教員は、スウェーデンの保育政策を参考に奈義町の子育て支援の特徴を明らかにした。小池教員は、子育ての環境、所得、時間など社会的要因を分析した。現在、小池教員と共に、本研究発表の内容をさらに発展させ、海外学会への応募を準備しており、共同研究を継続している。

床尾あかね教員は、奈義町の地区単位と年代別の人口分析を進めるためデータの収集を進めている。この研究は、統計学の視点から政策と人口増加の成果を把握するために行っている。

共同研究チームは、市民参加、児童福祉、世界比較、人口統計学のそれぞれの視点から奈義町の人口増加の背景を明らかにした。