プロジェクト

共同研究プロジェクト 野﨑貴博

採択課題名

縄文時代後期の河道出土木材の高精度年代測定にむけた基礎的研究

メンバー一覧(氏名、所属)

野崎 貴博岡山大学・文明動態学研究所
藤尾 慎一郎国立歴史民俗博物館
冨井 眞大正大学・文学部
箱﨑 真隆国立歴史民俗博物館
佐野 雅規名古屋大学大学院・環境学研究科
山口 雄治岡山大学・文明動態学研究所

研究の概要

岡山市北区所在の津島岡大遺跡では、2000年に縄文時代後期の河道の発掘調査が実施され、200本以上の杭が列状に打ち込まれて形成された、類例のない特異な遺構が確認された。この調査成果については、縄文時代に組織的に編成された大規模協業の可能性を示すもの、という意見もある。しかし、杭の外見的属性から年代を決定することはできない。そのため、この杭列が一度に構築されたのか、小規模な遺構の長期にわたる累積か、という問題は23年間にわたって不明なままである。

この問題を解決する可能性があるのは、杭の酸素同位体比年輪年代測定である。本研究は、その分析を実施するための前提として以下の点を進めることを目的とする。

①河道出土木材について、放射性炭素年代測定を実施する。これは年輪数の少ない小径木の酸素同位体比年輪年代測定値をマスタークロノロジーとマッチングする際の絞り込みにおいて重要な情報となる。

②杭のような年輪数の少ない小径木の伐採年を酸素同位体比年輪年代法で特定し、多数の杭材の年代情報を統合することで、杭列が一度に構築されたか否かを検証する、という挑戦的な分析を試みることについて年代学研究者を交えて検討する。